








いわゆるデカダンを標榜し、呵責のない表現を用いながらも、その作品には、どこか、古典的な安定感が漂っています。その文学観を、みずから示している評論が「ファルスについて」と「文学のふるさと」です。特に「文学のふるさと」は名著で、伊勢物語、赤ずきん、など古典的作品を引用しながら、文学の本質、さらには人性にまで、筆を進めています。
この評論を読むと、坂口安吾の安定感は、鋭い人間洞察に支えられていることがわかります。その人間洞察は、非常に個性的でありながも、時代を選ばない普遍性を備えています。
ぜひ、自分が普段隠している「弱さ、情けなさ」を見つめながら、じっくりと読んでみてほしい一冊です。
















たとえば「てくるはのる事件」の容疑者は実は自殺ではなかったと言うことや、バスハイジャック事件で明かされていない警察の大失敗があったということなど、安楽椅子探偵の推理のように明確に解説して見せている。(といっても本人は安楽椅子に座ったままというのでもなく、いろいろなところに出向いてもいる)
どうしてこれらの真実がマスコミなどで当時明らかにされなかったのだろうと思うが、考えてみるとすぐわかる。それらの隠れた手がかりの意味を捉えることのできる人間がマスコミにはいなかったのだ。だからこの本は警察官の経歴を持つ作者ならではのものだったろうと思う。
後半は警察組織の問題や、なぜ警官を辞めたかという過去、を解説している。昇進の問題その他、いろいろと根が深いことがわかる。 著者の文章の特徴として、論理的であいまいさがないということがある。ここらは、きっと警察官時代も有能だったのだろうと思わせる。たいてい、とても明快で わかりやすい。
明快過ぎる文章というのは往々にしてどこかあぶなっかしいのだが、そのような不安感がないのは、広い経験と知識と、客観的な視点に裏打ちされているからだ。 最後に警察組織の改善策がまとめられているが、これもはっきり3つにまとめている。 警察組織の問題を知るのに、避けることのできない本だと思う。




